MDMツールとは
MDM(Mobile Device Management)とは、スマホやタブレットなど業務で利用するモバイルデバイスを一元管理できるツールです。端末紛失時の遠隔操作や、機能・アプリの利用制限、セキュリティポリシーにもとづく一括設定などが可能です。情報漏えいやウイルス感染のリスクを回避し、セキュリティを強化するとともに、端末管理業務の効率化にもつながります。
以下の記事では、人気のMDMツールをタイプ別に分類し、最新の製品を比較しています。どんなMDMがあるのか気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
MDMの必要性
新型コロナを機にテレワークやBYOD(Bring Your Own Device:私物端末の業務利用)が広がり、特にスマホの業務活用は一気に加速しました。今ではスマホが社外業務に欠かせないツールとなり、その利用はすっかり常態化しています。
一方で、スマホの紛失や不正利用による情報漏えいリスクも大きくなりました。こうした背景から、スマホをはじめとする業務端末を安全に運用するために、MDMの導入が重要視されています。MDMの意味や目的、仕組みをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
MDMツールの機能
MDMツールには、主に「紛失時の遠隔操作機能」「利用状況の把握や制御機能」「セキュリティ機能」「端末管理機能」の4つのカテゴリーがあります。スマホやタブレットを安全に業務利用するために、具体的にどのような機能があるのか見ていきましょう。

遠隔操作機能
端末の紛失・盗難時に、遠隔から操作できる機能です。ほとんどの製品に搭載されており、悪意のある第三者への情報漏えいを迅速に防げます。
機能名 | 説明 |
---|---|
リモートロック機能 | 管理者の遠隔操作でスマホをロックし、拾得者に連絡を促す画面を表示できます。 |
リモートワイプ機能 | 管理画面からデータを削除し初期化。ネット接続中のスマホなら迅速に対応可能です。 |
リモートパスコードリセット | 一定回数の誤入力や通信停止が続いた場合、自動的にデータを削除します。 |
さらに、スマホ自体からデータを即座に削除する「ローカルワイプ」もあります。これらは端末が手元にある場合に有効で、ネット接続を必要としません。
端末操作の把握やアプリの制限機能
デバイスの利用状況をモニタリングしたり、アプリのインストールや使用を制限したりする機能です。業務以外の利用を禁止し、情報流出を防ぐ目的で活用されます。
機能名 | 説明 |
---|---|
ログ管理機能 | スマホのログイン・ログオフ履歴、Web閲覧、通話履歴、Wi-Fi接続状況などを記録し、不審な操作や勤務実態を把握できます。 |
異常検知機能 | Jailbreak・root化を検知して管理者に通知し、セキュリティホールを早期に防ぎます。 |
SIM監視機能 | 許可していないSIMへの差し替えを検知し、自動ロックや通知を実行。スマホの不正利用を防止します。 |
位置情報取得機能 | GPSで現在位置や履歴を取得し、紛失時の発見や従業員の行動管理に活用できます。 |
端末管理機能
自社のセキュリティポリシーにあわせて、複数端末を一元管理する機能です。 iPhoneやAndroidなどさまざまな端末が混在している場合でも、一つの管理画面で一括管理が可能です。職位に応じた権限付与や部署単位・個別単位での管理にも対応します。
機能名 | 説明 |
---|---|
ネットワーク・メールの初期設定 | スマホ配布時にWi-FiやVPN接続、メールアカウント設定を自動で完了。 |
OSアップデート管理 | 端末のアップデート状況を一括で把握し、必要に応じて強制更新を適用可能。 |
業務時間・エリア設定 | 時間帯や場所によってスマホ利用を制限し、隠れ残業や情報漏えいを抑えます。 |
BYOD対応 | 私物スマホの業務データをコンテナ化して分離管理。個人データには影響を与えません。 |
セキュリティ機能
MDMには、ウイルス対策やデータ暗号化などモバイルデバイスの安全性を確保するための機能が搭載されています。
機能名 | 説明 |
---|---|
アンチウイルス機能 | 不正アプリを検知・ブロックし、スマホのウイルス感染を防止します。 |
URLフィルタリング | 業務に不要なサイトへのアクセスを遮断し、マルウェア感染や情報漏えいリスクを低減。 |
デバイス認証 | 端末登録や証明書で正規のスマホだけが社内システムへアクセス可能にします。 |
ITトレンドでは、スマホやタブレットの業務管理に役立つ多彩なMDMツールを取り扱っています。以下のボタンから複数のMDM製品情報を一括資料請求(無料)できるので、スマホ管理の効率化やセキュリティ強化を検討中の方はぜひご活用ください。
スマホを安全に業務利用するためのポイント
スマホを業務で活用する場面が増える一方、情報漏えいやマルウェア感染のリスクも高まっています。MDMツールで端末を一括管理するだけでなく、URLフィルタリングや通信の暗号化、BYODポリシーの策定など、追加の対策も欠かせません。
これにより、社内外を問わず安全にスマホを業務利用できる環境を整えられます。また、管理者だけでなく従業員一人ひとりがセキュリティ意識をもつ姿勢も重要です。
スマホの業務利用でよくあるトラブル
業務でスマホを使う際には、外出先や移動中に端末を紛失・盗難されるリスクがつきものです。従業員が私的にアプリをインストールし、業務データが流出するケースも珍しくありません。
さらに、Jailbreakやroot化されたスマホはセキュリティが大きく低下し、外部からの攻撃にさらされやすくなります。こうしたリスクを抑えるためにも、MDMツールによる一元的な管理や監視が不可欠です。
スマホ管理のセキュリティポリシー例
スマホを業務で安全に運用するには、具体的なセキュリティポリシーを定め、社内全体で徹底していく必要があります。例えば、業務に不要なカメラ機能の制御や、業務時間外・業務エリア外での利用制限を設ける方法があります。
さらに、アプリのインストールを制限し、操作ログを取得・監査する仕組みを導入すれば、内部不正の抑止にもつながります。こうしたポリシーを徹底することで、スマホの業務利用をより安全に管理できます。
MDMツールの価格相場
現在ITトレンドで取り扱っているMDMツールは、初期費用が19,800円から、月額費用は1端末あたり100円から提供しています。多くの製品が、紛失・盗難対策時の遠隔操作や端末の監視・制限機能を備えていますが、製品によっては遠隔操作機能だけに絞ったプランも選択可能です。
従業員のプライバシーに配慮して必要最低限の機能だけを導入したい場合や、コストを抑えたい場合には、こうしたプランを選ぶのがおすすめです。以下の記事では、MDMを無料で利用する方法やトライアル可能なMDMを紹介しています。気になる方はぜひ参考にしてください。
また、以下のフォームから複数製品の比較資料を簡単に入手できるので、ぜひご活用ください。

人気のMDMツールTOP5を紹介
ここからは、実際にどのようなMDMツールがあるのか製品をチェックしていきましょう。ITトレンド年間ランキング2024「MDM(モバイル端末管理)ツール」をもとに、お問い合わせの多かったTOP5の製品を紹介します。
CLOMO MDM
ITトレンド年間ランキング2024「MDM(モバイル端末管理)ツール」1位
株式会社アイキューブドシステムズ提供の国産MDM「CLOMO MDM」は、管理側で各端末の使用時間を制限できます。社内限定のアプリ配布サイトが用意されており、公開範囲の制限やアプリの強制インストール・削除にも対応。サポート体制が手厚く、端末紛失などの緊急時にも有人オペレーターによる支援が受けられます。
●参考価格:初期費用19,800円、月額300円~/台
クライアント運用管理ソフト SKYSEA Client View
ITトレンド年間ランキング2024「MDM(モバイル端末管理)ツール」2位
Sky株式会社が提供する「クライアント運用管理ソフト SKYSEA Client View」は、MDM機能をオプションとして提供しています。iPhoneやAndroidなどキャリアやOSが異なる端末を一元管理できます。モバイル機器管理とIT資産管理やセキュリティ対策強化を検討している企業におすすめです。
●参考価格:お問い合わせ
FiT SDM
ITトレンド年間ランキング2024「MDM(モバイル端末管理)ツール」3位
株式会社アイ・エス・ビーが提供する「FiT SDM」は、販売・開発・サポートをワンストップで対応する国産のクラウド型MDMサービスです。スクリーンショットやBluetoothなど、業務に不要な機能の制御を細かく設定可能。アンチウイルスソフトのHarmony Mobileや、エンドポイントセキュリティHarmony Endpointとは、オプションで連携できます。
●参考価格:初期費用50,000円、月額300円~/台
LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版
ITトレンド年間ランキング2024「MDM(モバイル端末管理)ツール」4位
エムオーテックス株式会社提供の「LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版」は、PC・スマホをクラウドで一元管理するIT資産管理・MDMツールです。リモートロックや位置情報取得などの基本機能に加え、Apple Business ManagerやAndroid Enterpriseとの連携により高度なデバイス管理を実現します。自動デバイス登録やアプリの一括配信、デバイスの用途制限など、さまざまな管理機能を簡便に利用できます。
●参考価格:初期費用30,000円、月額300円~/台
SPPM
ITトレンド年間ランキング2024「MDM(モバイル端末管理)ツール」5位
株式会社AXSEEDが提供する国産MDM「SPPM」は、iOS ・Android ・ Windows ・Macなど複数のOSが混在していても一括管理が可能です。キャリアフリー製品のため、格安SIMやWi-Fiモデルにも対応しています。サポート体制も充実しておりトライアル中から回数無制限でサポートが受けられるのも魅力です。
●参考価格:初期費用無料、月額330円~/台(税込み)
以下のボタンから、最新のランキング情報を確認できます。人気製品の傾向を把握したい方や、どのような製品があるのかチェックしたい方は、ぜひご参照ください。
MDMツールのメリット・効果
さまざまな機能が搭載されているMDMですが、実際に導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。セキュリティ強化や管理業務効率化など、期待できる効果について解説します。
セキュリティの強化
MDMツールの導入は、そのままセキュリティ対策にもつながります。情報漏えいやウイルス感染などのリスクを低減させたい場合に有効です。
紛失・盗難時の情報漏えい防止
モバイルデバイスの紛失や盗難被害にあう可能性は、ゼロではありません。行方がわからないモバイルデバイスの探索には、GPSによる位置情報の取得が効果的です。リモートロック機能やリモートワイプ機能を用いれば、遠隔操作による端末ロックやデータの消去が可能です。第三者による端末の不正操作や情報漏えいのリスクを低減できるでしょう。
モバイルデバイスの私的利用を抑止
URLフィルタリング機能により、業務に必要ないWebサイトへのアクセスを制限し、情報漏えいやウイルス感染のリスクを抑えます。また、機能やアプリも制限でき、私的なアプリのインストールによるセキュリティリスクを低減させます。さらに、端末内のアプリを一括管理できるため、適切な利用を促し、私的利用の抑止にもつながります。
モバイルデバイス管理・設定業務を効率化
MDMツールの導入は、管理者と従業員双方に業務負担軽減のメリットをもたらします。
初期設定・アップデート・アプリ配布を一括操作
従業員規模が大きな企業において、モバイルデバイスのキッティングは担当者の大きな負担です。MDMを利用すれば、画面上で一括操作できるためセットアップも容易です。業務で使用するアプリケーションの配布やアップデート管理、インストールやアンインストールも、遠隔で管理・運用できます。
従業員の業務負担を削減
管理者側で初期設定やセキュリティ設定を一括して行うだけでなく、業務アプリの追加にも対応できるため、従業員が自分で設定する手間はほとんどかかりません。モバイルデバイスの付与後すぐに業務活用が可能です。後から初期設定に変更が必要になった場合でも、遠隔で一括操作できるため従業員の手を煩わせません。
セキュリティポリシーの遵守
企業のセキュリティポリシーに準じた設定をすべてのモバイルデバイスに適用できます。例えば、許可したアプリだけをインストールする、カメラやSDカード機能を無効化する、セキュリティポリシーに反した利用があった際に通知するなどの設定が可能です。
モバイル端末の業務運用を従業員個人のモラルに一任せずにすむため、シャドーITなどの発生リスクも抑えられます。管理者側が認めていない外部サービスの無断利用は、コンプライアンス違反を招きかねないため注意が必要です。
端末データの可視化による業務改善
アプリの利用歴や稼働状況など従業員の端末データを可視化できるため、部署ごとの利用傾向を把握でき、アプリの見直しや活用改善の検討などに活かせるでしょう。また、遊休状態の端末や各端末の費用内訳なども把握できるため、端末台数の見直しやコスト削減にも効果的です。
MDMのメリットやデメリットをもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
まとめ
テレワークやBYODの普及により、スマホやタブレットを業務で活用する機会は今後ますます増えていきます。こうしたモバイルデバイスが増えるほど、管理は複雑になり、情報漏えいやウイルス感染などのセキュリティリスクも大きくなります。
MDMツールを導入すれば、スマホやタブレットを一括で効率的に管理し、統一したセキュリティポリシーのもとで安全に運用できます。スマホを業務に活用する企業にとって、MDMツールはもはや欠かせない存在です。
この機会にMDMツールを比較検討し、端末管理の効率化とセキュリティ強化を実現しましょう。複数のMDM製品をまとめて比較できる一括資料請求(無料)もぜひ活用してみてください。