
稟議システムとは
稟議システムとは、社内の稟議を電子化し、申請から承認、決裁までの一連の流れ(ワークフロー)を効率化するシステムです。主に「電子稟議システム」「電子承認システム」「ワークフローシステム」とも呼ばれており、どれも同様に紙を使わずにオンライン上で稟議手続きを完結できるものを指します。
稟議システムを導入することで、時間や場所を選ばずに稟議を申請・承認できるようになり、業務効率の大幅な向上や内部統制の強化につながります。これまで印刷やハンコで手間取っていた稟議業務をデジタル化し、意思決定のスピードアップを図る企業が増えています。
稟議とワークフローの違い
稟議に関連してよく聞く言葉に「ワークフロー」があります。両者は似ているようで意味は少し異なります。具体的には以下のとおりです。
- ●稟議:提案者自身の権限だけでは決定できない事案を、上司や役員などの承認を得ることで進める業務。
- ●ワークフロー:申請から承認・決裁までの手続きを経る一連の流れ(プロセス)そのもの。
つまり、稟議は「承認を得る業務の内容」を指し、ワークフローは「その手続をどう進めるかの流れ」を指します。稟議システムは、稟議業務を効率化するだけでなく、ワークフロー全体を統合管理できるのが特徴です。
紙やExcelで稟議を運用する際の課題
従来、稟議は紙の書類やExcelファイルを使って運用されるケースが多くありました。しかし、この方法にはさまざまな課題があります。
- ■決裁までに時間がかかる
- 紙の稟議書を持ち回ったり郵送したりするため、関係者が不在の際には承認が滞り、決裁までに時間がかかります。
- ■進捗状況がわかりにくい
- 「今どこで止まっているのか」「誰が承認待ちなのか」が見えず、問い合わせや確認に手間がかかります。
- ■生産性が低下しやすい
- 手書きやExcelでの入力ミスによる差し戻し、ハンコを押すだけに出社するなど、ムダな作業が増えてしまいます。
- ■印刷・保管にコストがかかる
- 稟議のたびに印刷代・インク代、さらに保管場所としてキャビネットや倉庫のコストが発生します。
- ■情報漏えいや改ざんリスク
- 紙の稟議書は紛失・持ち出し・不正な改ざんが起こりやすく、情報管理上の大きなリスクです。
こうした課題を解消するために、最近では稟議システムの導入が急増しています。稟議の電子化によってこれらの問題をまとめて解決できるからです。
さっそく、どのようなシステムがあるか気になる方は、以下よりおすすめ製品ランキングをご覧ください。
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稟議システムの機能一覧
稟議システムには、稟議書の作成から承認・決裁、管理までをワンストップで効率化できるさまざまな機能が搭載されています。これらの機能により、従来の紙やExcelで運用していた課題をまとめて解決できます。代表的な機能は以下のとおりです。
機能名 | 説明 |
---|---|
入力フォームの作成機能 | テンプレートや既存のExcelフォーマットを取り込んで、稟議書の入力フォームを簡単に作成できます。入力漏れや誤字を自動チェックする機能があるため、差し戻しを減らし作業効率が向上します。 |
フロー定義機能 | 稟議の内容や金額に応じて、承認ルートや承認者を柔軟に設定できます。条件に応じた自動分岐により、煩雑な承認ルートでもミスなく運用が可能です。 |
承認・決裁機能 | オンライン上で稟議の承認・決裁が完結します。複数承認者による多数決(1/2や1/3の承認で可決)なども設定でき、会社の規程に応じた承認プロセスが実現します。 |
他システムとの連携機能 | 勤怠管理や会計システム、社内チャットなどとデータ連携が可能です。稟議の進捗通知や差し戻し・決裁結果の共有を自動化し、業務全体をスムーズに連携できます。 |
運用管理・セキュリティ機能 | ユーザーごとのアクセス権限やIP制限、組織改編時の設定変更などを一元管理できます。監査ログの取得や改ざん防止機能も備わっており、内部統制・コンプライアンス強化にも有効です。 |
このように稟議システムは、単に承認を電子化するだけでなく、進捗管理やセキュリティ、ほかの業務システムとの連携まで幅広くカバーしています。稟議システムの機能をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
稟議システム導入のメリット
稟議システムを導入して得られる代表的なメリットとして、以下の4つが挙げられます。
決裁までのスピードが大幅に向上する
稟議システムを導入すると、申請から承認までがPCやスマホ上で完結します。これにより、社内回覧で紙を持ち回る必要がなくなり、拠点間や在宅勤務の担当者ともスムーズに稟議を進められます。時間や場所を選ばずに対応できるため、関係者不在による停滞がなくなり、意思決定のスピードが飛躍的にアップします。
複雑な承認ルートも簡単に運用できる
稟議システムには柔軟な承認ルート設計機能があります。例えば、以下のような複雑なフローも設定可能です。
- ●一定額を超える購買稟議は特別ルートに自動切替
- ●全員の承認後に決裁者へ進める「全員承認フロー」
- ●多数決で過半数が承認すれば次へ進む
- ●承認者が不在の場合は自動で代理承認者に引き継ぐ
- ●決裁前に関係者へ自動で事前通知(根回し)を行う
このように、企業ごとの規定や商習慣にあわせたルートを柔軟に設定できるため、内部監査や規程違反を防ぎながら、無駄のない稟議運用が実現します。
承認ルートや承認状況を可視化できる
稟議システムなら、システム上ですべての稟議の進捗状況がひと目で確認できるため、「どこで止まっているのか」「いつ承認されたのか」がすぐに分かります。また、承認ルートや処理履歴を自動的に記録・保存するため、社内監査や内部統制を強化したい企業にも最適です。
稟議書を効率的かつ安全に管理できる
決裁済みの稟議書は、システム上でデータとして一元管理されます。アクセス権限や出力制限を設定できるため、文書の改ざんや社外持ち出しによる情報漏えいリスクを大幅に低減可能。さらに、申請日や申請者、金額などの条件で絞り込みができ、過去の稟議を素早く見つけられるため、監査対応や再利用時にも役立ちます。
稟議システムは、単なる電子承認ツールにとどまらず、業務全体の効率化やガバナンス強化を支える重要な基盤です。稟議システムのメリットについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
【ITトレンド調査】稟議システムおすすめランキングTOP3
ここでは、2024年にITトレンドで資料請求が多かった人気の稟議システムをランキング形式で紹介します。いずれも資料請求(無料)が可能なため、ぜひ比較検討にお役立てください。
以下のボタンからは最新の月間人気ランキングもご覧いただけます。今どの製品が選ばれているのかを把握し、失敗しない稟議システム選びにお役立てください。
ジョブカンワークフロー
- 社内のあらゆる申請に対応!スマホからも申請・承認可能!
- クラウドサインと連携!社内・社外とのやり取りもペーパーレス化
- 中小から大企業、自治体に至るまで幅広い導入実績多数あり!
2024年ITトレンド年間ランキング(ワークフローシステム)1位
株式会社DONUTSが提供する「ジョブカンワークフロー」は、低コストで導入できるクラウド型システムです。申請フォーマット作成や承認ルート設定などの基本機能を搭載しています。50以上の申請書テンプレートの活用やスマホからの申請・承認、クラウドサインとの連携も可能なため、利便性にもすぐれています。なお、30日間の無料トライアルを提供しています。
参考価格:初期費用無料、月額300円/ユーザー(ほかのジョブカン製品を導入していれば月額250円)
コラボフロー
- お使いのExcelを申請フォームとしてそのまま電子化、導入が簡単
- 誰にとっても「使いやすく、わかりやすい」操作性。
- 10期連続 顧客満足度No.1獲得!安心の高機能ワークフローシステム
2024年ITトレンド年間ランキング(ワークフローシステム)2位
株式会社コラボスタイルが提供する「コラボフロー」は、既存のExcelファイルを申請フォームに活用できるシステムです。わずか3ステップで、思いどおりのワークフローが完成します。また、承認段階ごとの入力項目制御や追記内容の自動判別、自動分岐など豊富な機能も特徴です。30日間の無料トライアルを利用できます。
参考価格:初期費用無料
【スタンダードプラン】月額500円/ユーザー、【プレミアムプラン】月額800円/ユーザー
楽々WorkflowII
- ノーコードでかんたん、かつ豊富な機能で、柔軟に経路設定
- 統一基盤として利用もできる汎用ワークフローシステム
- 蓄積したデータを可視化・活用、業務改善にもつながる
2024年ITトレンド年間ランキング(ワークフローシステム)3位
住友電工情報システム株式会社が提供する「楽々WorkflowII」は、あらゆる承認業務を電子化するワークフロー基盤です。データ連携機能や利用状況の可視化を通じて、業務効率の向上を支援します。ブラウザのみで簡単にフォームやフローを設計でき、全員承認や代理承認、引上げ承認などの複雑な承認ルート設定も可能。また、電子帳簿保存法にも対応しています。
参考価格:別途問い合わせ
より多くの製品から比較検討したい場合は、以下の記事をご覧ください。自社に適した製品の選び方や料金相場なども詳しく解説しています。
まとめ
稟議を電子化することで、申請から承認・決裁までのプロセスがスムーズになり、業務の効率化や迅速な意思決定が実現します。また、稟議フローを可視化することで、内部統制が強化され、不正リスクやコンプライアンス面での課題も軽減できます。
変化の激しい市場や顧客ニーズにスピーディーに対応するためにも、自社にあった稟議システムを導入し、ビジネスをさらに加速させましょう。
ITトレンドでは多彩な稟議システムを比較・検討できます。下のボタンから一括資料請求(無料)が可能なので、この機会にぜひ活用し、自社に最適な製品を見つけてください。