仮想デスクトップ(VDI)とは
VDI(Virtual Desktop Infrastructure)とは、サーバ上に仮想デスクトップ環境を構築し、ユーザーがネットワーク経由でその環境にアクセスする仕組みです。物理端末に依存せず、安全かつ柔軟な業務環境を実現できることから、多くの企業で導入が進んでいます。
VDIのメリット
VDIは、セキュリティ性や管理効率に優れており、セキュリティ要件が厳しい業種でも注目されています。VDIの主なメリットは以下のとおりです。
- ■セキュリティの向上
- 端末にデータを保存しないため、情報漏えいリスクが軽減されます。
- ■一元管理が可能
- OSやソフトウェアの更新・設定を一括で管理でき、IT部門の運用負担を削減します。
- ■場所にとらわれない働き方
- 自宅や外出先からでも社内と同じ環境で業務が可能になります。
以下の記事では、おすすめVDI製品を紹介しています。種類や選び方も紹介しているのであわせて参考にしてください。
VDIのデメリット
VDIの代表的なデメリットは以下のとおりです。
- ■初期コストが高い
- サーバ構築やVDIライセンス費用など、導入にかかるコストが大きくなります。
- ■高いITスキルが必要
- 運用・トラブル対応には専門的な知識が求められます。
- ■ネットワーク依存
- 接続環境が不安定な場合、業務に支障が出る可能性があります。
リモートデスクトップ(RDS)とは
リモートデスクトップとは、遠隔地から社内のPCやサーバにアクセスし、あたかも目の前で操作しているかのように業務ができる仕組みです。Windowsに標準搭載されているRDP(Remote Desktop Protocol)をはじめ、さまざまなツールで導入可能で、スモールスタートに適しています。
リモートデスクトップのメリット
リモートデスクトップは、既存の業務用PCやサーバを活用して、比較的手軽に導入できるのが大きな特徴です。以下に主なメリットをまとめます。
- ■低コストで導入可能
- 既存PCやサーバをそのまま活用できるため、初期費用を抑えられます。
- ■導入が比較的簡単
- 設定がシンプルで、IT知識が限定されていても対応しやすいのが特徴です。
- ■業務PCの環境をそのまま使える
- 普段使用している社内PCにアクセスするため、操作感や設定を変える必要がありません。
リモートデスクトップのデメリット
リモートデスクトップの代表的なデメリットは以下のとおりです。
- ■同時接続数に制限がある
- 複数ユーザーによる同時接続は可能ですが、セッション数にはサーバスペックやライセンスに応じた上限があります。大規模運用には十分なリソース確保が必要です。
- ■接続先PCの電源状態に依存
- 社内PCの電源が入っていないと接続できず、外部からの電源管理が必要になることもあります。
- ■セキュリティ設定に注意が必要
- VPN未導入やポート開放の誤設定によって、外部からの不正アクセスのリスクが高まります。
VDI(仮想デスクトップ)とRDS(リモートデスクトップ)の違い

VDIとRDSはいずれも遠隔からデスクトップ環境にアクセスできる仕組みですが、VDIはユーザーごとに個別の仮想環境を提供し、RDSは1つの環境を複数人で共有する点が大きな違いです。導入目的や規模に応じて選定が必要です。
ここでは、VDIとリモートデスクトップの主な違いを項目ごとに比較します。
セキュリティ・回線安定性
仮想デスクトップ(VDI) | リモートデスクトップ(RDS) | |
---|---|---|
セキュリティ | 高い(データは仮想環境内に完結) | 設定次第ではリスクあり(端末にデータが残る可能性も) |
回線の安定性 | サーバ性能・通信環境に依存 | 利用環境や接続先PCの状態に左右されやすい |
VDIはサーバ上の仮想デスクトップを利用するため、端末にデータが残らずセキュリティ性が高いのが特徴です。一方、リモートデスクトップは設定次第でセキュリティにばらつきが出るため、VPN接続やファイアウォール設定などの対策が必要です。また、VDIも通信環境の影響を受けますが、高性能なサーバと帯域確保により比較的安定した接続が可能です。
導入コスト・料金
仮想デスクトップ(VDI) | リモートデスクトップ(RDS) | |
---|---|---|
初期費用 | 高い(仮想基盤やサーバ構築が必要) | 低い(既存PC活用も可能) |
月額運用コスト | 中〜高(ライセンス費など) | 低〜中(ユーザー数に応じて変動) |
VDIは初期にインフラ構築が必要なため、導入コストが高くなる傾向があります。その代わり、複数拠点やユーザーを一括管理しやすく、長期的には運用効率化につながります。リモートデスクトップはスモールスタートが可能で、社内PCがあればすぐに環境構築できるため、小規模なテレワーク導入に適しています。
機能や拡張性
仮想デスクトップ(VDI) | リモートデスクトップ(RDS) | |
---|---|---|
拡張性 | 高い(ユーザーごとに仮想環境を追加できる) | 中程度(同一サーバ上で複数ユーザーがセッション共有) |
利用人数の柔軟性 | 多数のユーザーに個別環境を提供可能 | 同時接続は可能だが、リソースや接続数に上限あり |
VDIは仮想環境の拡張により、利用ユーザー数を柔軟に増減できるのが強みです。一方リモートデスクトップは、1つのサーバ環境を複数ユーザーで共有しますが、同時接続数や使用できるリソースに制限があり、大規模なユーザー数に対応するには構成の工夫が必要です。
インフラ要件
仮想デスクトップ(VDI) | リモートデスクトップ(RDS) | |
---|---|---|
必要な環境 | 仮想デスクトップ環境 / サーバ / クライアント端末 | 接続元PCと社内の既存端末 |
導入の工事 | 必要(仮想インフラ構築) | 原則不要(設定のみで対応可能) |
VDI導入には仮想サーバやストレージなどのIT基盤構築が必要ですが、リモートデスクトップは社内PCが既にある場合、設定レベルでの導入が可能です。ただし、リモート先との通信セキュリティを担保するためにVPNやアクセス制御の導入が推奨されます。
VDIかリモートデスクトップ、どちらを選ぶべきか
VDIとリモートデスクトップは、いずれもテレワークや業務効率化の実現に有効な手段ですが、用途や組織の体制によって適した方式は異なります。ここでは、それぞれの仕組みが適しているケースを紹介します。
VDIが適しているケース
VDIは以下のようなケースに適しています。
- ●社員数が多く、IT資産や業務端末を一元的に管理したい企業
- ●セキュリティポリシーが厳しく、データを端末に残したくない業種(例:金融・医療・官公庁など)
- ●全国・海外に拠点があり、どこでも統一された業務環境を提供したい場合
- ●高負荷な業務(CAD、開発環境など)に対応できる高性能な仮想デスクトップが必要な場合
- ●BYOD(私物端末の業務利用)を安全に実現したい場合
「自社の業務にVDIが適している」と感じた方は、まず製品情報を比較することからはじめてみましょう。以下のボタンから、無料で複数のVDI製品資料をまとめて確認できます。最適な選択肢を見つける一歩として、ぜひ活用ください。
リモートデスクトップが適しているケース
リモートデスクトップは以下のようなケースに適しています。
- ●少人数で簡易的にテレワーク環境を整えたい中小企業やスタートアップ
- ●既存の社内PCやサーバを有効活用したい場合
- ●特定の業務端末やシステムに外部からアクセスできれば十分な業務内容
- ●導入費用を抑えながらも、在宅勤務や出張対応を進めたい企業
- ●ITインフラに大きな変更を加えず、すぐに運用を開始したい場合
以下の記事では、おすすめのリモートデスクトップアプリを紹介しています。選び方や注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
導入時の注意点
VDI・RDSともに不正アクセスやウイルス感染には注意しなければなりません。外部の端末から仮想環境にアクセスする特性上、不正アクセスによる被害が考えられます。また、端末と仮想環境の接続を介して感染するウイルスも見つかっています。
どちらの環境を構築する場合も、万全なセキュリティ対策を施しましょう。
まとめ
VDIとRDSは、それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の業務スタイルやIT体制に合わせて最適な選択をすることが重要です。まずは製品資料などを比較しながら、無理のないかたちで導入検討を進めてみてください。以下のボタンからVDI製品の一括資料請求も可能です。